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2006年3月26日12時36分
時点のものです。









ゴダール映画史−ゴダールとは

ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard、1930年12月3日 - )は、フランスの映画監督。パリに生まれる。ソルボンヌ大学中退。ヌーヴェルヴァーグの旗手。フランスのみならず世界レベルで最も重要な映画作家の1人。


略歴
1959年 映画『勝手にしやがれ』で長編映画デビュー。
1961年 長編第2作の『小さな兵隊』に主演女優として出演したアンナ・カリーナと結婚。
1964年 アンナ・カリーナと独立プロダクション「アヌーシュカ・フィルム」設立。
1965年 『気狂いピエロ』発表。
1965年 アンナ・カリーナと離婚。
1967年 『中国女』に出演したアンヌ・ヴィアゼムスキーと結婚。
1968年 カンヌ映画祭に、映画監督フランソワ・トリュフォー、クロード・ルルーシュ、ルイ・マルらと共に乗りこみ映画祭を中止に追い込む。その後、商業映画からの決別を宣言。ジャン=ピエール・ゴラン等と共に映画製作集団「ジガ・ヴェルトフ」を結成し活動の主軸とした。
1970年 アンヌ・ヴィアゼムスキーと離婚。
1972年 イヴ・モンタンとジェーン・フォンダを主役に据えた5年ぶりの商業映画『万事快調』を制作。しかし本格的な商業映画の復活ではなく、この作品以降再び政治的メッセージとしての作品を撮り続ける。
1974年 『ヒア&ゼア・こことよそ』の撮影の取材を行っていたカメラマンのアンヌ=マリー・ミエヴィルとパートナー関係を結ぶ。ゴダールとミエヴィルとは映画製作プロダクション「ソニマージュ(SONIMAGE)」を設立し、以降2人は公私に及ぶ強固なパートナー関係を維持し続ける。
1979年 『勝手に逃げろ/人生』で商業映画への復活を果たす。
1982年 『カルメンという名の女』によりヴェネチア映画祭で金獅子賞を獲得。
1989年 『映画史』の第1章と第2章とを発表
1998年 『映画史』の最終章である第4章を発表。
2002年 日本の高松宮殿下記念世界文化賞受賞。

ゴダール映画史−『映画史』の時代

1989年に第1章と第2章が発表され、1998年に第4章の完成をもって完結する『映画史』的なものが中心となるのが「『映画史』の時代」だ。ここにおいて「分断と再構築」の構造は更に深化を遂げ、映像、声(台詞)、テキスト、そして音楽がそれぞれのレベルで分断され、1つのシーン(作品)として再構築される。「政治の時代」におけるテキストやメッセージの活用、「『映画史』以前」における映像の「分断と再構築」の深化が一つになって結実したのが「『映画史』の時代」の作品群であると言えるだろう。

しかし、実はその発端は『映画史』の制作着手よりも10年近く前に制作された『フレディ・ビアシュへの手紙』(1981年)にある。これはローザンヌ市の市制400年を記念して市からの依頼に基づいて制作された作品で、映画を制作すること自体を、記念映画を制作することに関するゴダールの内省をフィルム化した内省録風の作品で、何かについて語った映画ではなく、語ることそのものあるいは「について」と言うこと自体を対象としたメタ構造を持つ作品だった。確かに上述の通り前期においても既にメタ映画的な要素は活用されてはいるが、その時点においては部分ないしは要素あるいは作品に対する味付けとして用いられていたに過ぎない。これに対し『フレディ・ビアシュへの手紙』は、メタ要素そのものが対象となっているという点で新しく、その後に続く作品の道筋が提示されていたと言えよう。また『フレディ・ビアシュへの手紙』においては語る私(=ゴダール)の直接的な登場や文字(テキスト)の活用など『映画史』以降を構成する基本要素がいくつも提示されていた。

ビデオ作品として制作された『映画史』は、一般的な意味における映画史に関するカタログ的な解説ではない。何の修飾詞も付けず「映画史」と題されてはいるが、ここで参照され言及される作品は極めて限定されたもに過ぎない。その構成要素は、1950年代までのハリウッド、ヌーヴェルヴァーグを中心としたフランス、イタリアのネオ・リアリスモ、ドイツ表現主義およびロシア・アヴァンギャルド映画等のその他ヨーロッパ諸国の作品が圧倒的多数を占めており、非欧米では日本から4人の作家(溝口健二、小津安二郎、大島渚、勅使河原宏)が参照されるのが目立つ程度であり、世界最大の映画生産国であるインドや、一定のジャンルを形成しうるほどの勢力に育ちつつある香港やイラン等のアジア、シネマ・ノーヴォのブラジルに代表されるラテン・アメリカ諸国はあっさりと無視されている。時代的にも著しい偏りが見られ、1970年代以降で取り上げられいるのは殆どが自分の作品だけであり、大半が1950年代までの「古き良き映画」だ。

また、映画に限らず音楽や絵画等の美術作品、写真(肖像写真を含む)も膨大に引用されており、その取り扱い方に映画との特別な差異はない(もちろんこれらについても西欧のもののみが対象となっている)。つまり『映画史』とは一般名詞としてのあるいは教養としての「映画史」ではなく、ゴダール自身の映画を中心とした芸術遍歴と論考とを表現したものであり、(様々な)映画について語る(表現する)ことではなく、映画について表現すること自体を映画によって構成したメタ映画がその本質なのだ。

この基本構造は『フレディ・ビアシュへの手紙』によって実現されたものと本質的な違いはないが、題材や対象範囲の広さ、「分断と再構築」の深度は比較にならないほどの進化を遂げている。ビデオ作品である利点を最大限に生かし、多重引用やリピートなどが盛んに行われており、ただ漫然と眺めているだけでは多くの参照元の推定すら難しいほどの加工が施されている。そしてこうした再構築もビデオクリップ作品のようにおもしろおかしさを基本に構成されているのではなく、その真偽の程はともかくとしても全4章、各章ごとにAとBとに分けられた合計8章ごとに一定のテーマが設けられ、それに従って引用やらコラージュが成されているので、見る側には極度の緊張と集中とが求められることになる。

ゴダール映画史−ゴダールの作品

『男の子の名前はみんなパトリックっていうの』Charlotte et Veronique, ou Tous les garcons s'appellent Patrick 1957年(短編)
『水の話/プチ・シネマ・バザール』Une histoire d'eau 1958年(短編)
『勝手にしやがれ』 A bout de souffle 1959年
『シャルロットとジュール』Charlotte et son Jules 1960年(オムニバス作品)
『小さな兵隊』Le Petit soldat 1961年
『女は女である』Une femme est une femme 1961年
『怠惰の罪』La Paresse- Les Sept peches capitaux 1962年(オムニバス作品『新七つの大罪』)
『女と男のいる舗道』Vivre sa vie: Film en douze tableaux 1962年
『新世界』Il Nuovo mondo- Ro.Go.Pa.G. 1963年(オムニバス作品『ロゴパグ』)
『カラビニエ』Les Carabiniers 1963年
『軽蔑』Le Mepris 1963年
『はなればなれに』Bande a part 1964年
『立派な詐欺師』1964年 Plus belles escroqueries du monde (オムニバス作品『世界詐欺師物語』)
『恋人のいる時間』Une femme mariee: Suite de fragments d'un film tourne en 1964 1964年
『モンパルナスとルヴァロア』Montparnasse-Levallois 1965年(オムニバス作品『パリところどころ』)
『男性・女性』Masculin feminin: 15 faits precis 1965年
『気狂いピエロ』Pierrot le fou 1965年
『アルファヴィル』Alphaville, une etrange aventure de Lemmy Caution 1965年
『彼女について私が知っている二、三の事柄』2 ou 3 choses que je sais d'elle 1966年
『メイド・インUSA』Made in U.S.A. 1967年
『カメラ・アイ』Loin du Vietnam 1967年(オムニバス作品『ベトナムから遠く離れて』)
『中国女』La Chinoise 1967年
『ウィークエンド』Week End 1967年
『未来展望』Anticipation, ou l'amour en l'an 2000 1967年(オムニバス作品『愛すべき女・女たち』)
『ワン・プラス・ワン』Sympathy for the Devil 1968年
『ブリティッシュ・サウンズ』British Sounds 1969年
『プラウダ(真実)』Pravda 1969年
『東風』Le Vent d'est 1969年
『イタリアにおける闘争』Lotte in Italia 1970年
『万事快調』Tout va bien 1972年
『パート2』Numero deux 1975年
『うまくいってる?』Comment ca va? 1975年
『ヒア&ゼア・こことよそ』Ici et ailleurs 1975年
『勝手に逃げろ/人生』Sauve qui peut (la vie) 1979年
『フレディ・ビアシュへの手紙』Lettre a Freddy Buache 1981年(短編)
『パッション』Passion 1982年
『「パッション」のためのシナリオ』1982年(ビデオ作品)
『カルメンという名の女』Prenom Carmen 1983年
『ゴダールのマリア』Je vous salue, Marie 1984年
『ゴダールの探偵』Detective 1985年
『右側に気を付けろ』Soigne ta droite 1987年
『ゴダールのリア王』King Lear 1987年
『映画史・第1章』Histoire(s) du cinema: Fatale beaute 1989年
『映画史・第2章』Histoire(s) du cinema: La monnaie de l'absolu 1989年
『ヌーヴェルヴァーグ』Nouvelle vague 1990年
『新ドイツ零年』Allemagne 90 neuf zero 1991年
『ゴダールの決別』Helas pour moi 1993年
『JLG/自画像』JLG/JLG - autoportrait de decembre 1995年
『フォーエヴァー・モーツァルト』For Ever Mozart 1995年
『映画史』Histoire(s) du cinema 1998年(完成)
『愛の世紀』Eloge de l'amour 2001年
『時間の闇の中で』Dans le noir du temps 2002年(オムニバス作品『10ミニッツ・オールダー』)
『アワーミュージック』Notre musique 2004年

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